心痛徹背、背痛徹心:心痛背に徹し、背痛心に徹す

「徹」には、突き抜ける、引っ張るという意味があり、胸の激しい痛みが背中まで及んだり、反対に背中の痛みが胸まで及ぶことを意味します。

これは喘息や狭心症などでよく見られる現象で、中医学では胸痹(きょうひ)といいます。

中医学では「不通則痛(通じざれば則ち痛む)」といわれ、人体を構成する気血津液(きけつしんえき)の流れが停滞すると痛むと考えます。胸痺は胸部の陽気すなわち熱エネルギーの鬱滞により、胸から背中に通じる経絡の流れが阻害されて痛みが現れます。

胸部の陽気を鬱滞させる主な原因は、寒さや冷え、ストレス、食餌の不摂生、過労、加齢などで、陽気が不足して流れが緩慢になるか、あるいは病理産物を生じて気血の巡りを阻害することで痛みが起こります。

治療は、経絡を通して気血の巡りを改善する牛黄(ゴオウ)製剤で応急処置を行い、根本治療として陽気を補う炙甘草湯(しゃかんぞうとう)や麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)で不足を補ったり、冠元顆粒(かんげんかりゅう)などで胸部の血行促進を図ります。