【五臓】肺の生理機能

肺には4つの大きな生理機能があります。

  1. 肺主宣発
  2. 上部や表面に散布、発散する作用を宣発(せんぱつ)作用といい、主に3つのものの散布や発散を行っています。

    運化作用によって飲食物から作られ、昇清作用によって肺に運ばれた水穀精微を全身に散布します。これによって全身を営養することができます。

    外邪の侵入を防御し、皮膚や産毛に潤いやハリ、ツヤを与え、発汗の調節や体温の維持、臓腑の温煦を行う衛気を体表に発散、全身に散布します。

    人体に必要なものだけでなく、呼吸器や皮膚と密接な関係がある肺は、呼気や皮膚呼吸によって、不要になった濁気を体外へ発散して排出します。

    肺の宣発作用が低下すると、人体に必要なものの運搬も、不要なものの排泄もできなくなるので、疲れやすい、息切れ、声に力がないなどの症状が現れます。また外邪が容易に侵入するためかぜをひきやすく、発汗や体温の調節がうまくいかなくなるので寒暖差についてゆけないなどの症状も現れます。

  3. 肺主粛降
  4. 下降させ、清粛、清潔にする作用を粛降(しゅくこう)作用といい、3つの役割を担っています。

    呼吸とは、大気中の清気を吸い込み、体内の濁気を吐き出す機能です。呼気は前者に当たり、これは肺の粛降作用によって行われています。また粛降作用によって、肺の上部から下部に大気中の清気が吸い込まれることで、肺の中を清浄に保つことができます。呼吸は肺と腎が協力して行っていますが、腎については後に詳しく説明致します。

    肺は上焦にあるため、肺より下にある臓腑にで作られた水穀精微を下降させて運搬します。宣発で散布すると同時に下降させることで、全身にくまなく運搬することができます。

    濁気を宣発作用によって発散して排出する他、その他の老廃物を排泄させるため下焦に下降します。

    かぜなどで邪気が肺に停滞して粛降作用が低下すると、咳や呼吸困難など上部に症状が現れます。また病理産物や老廃物を下降できなくなるため、尿量が減少してむくみが出ることもあります。

  5. 肺主気
  6. 肺は呼吸の気と一身の気を統括しています。

    呼吸の気には呼気と吸気があります。吸気は大気中の清気を取り込む作用、呼気は体内の濁気を体外に排泄する作用です。吸気には後で説明する腎の作用も関係しますが、呼吸全体を統括するのは肺の役割です。

    一身の気とは、全身のの生成と気機活動を指し、肺は気の昇降出入全てに関与します。

    この2つの作用は、宣発作用粛降作用によって行われています。

    呼吸器疾患で痰が肺に停滞すると、呼吸の気をコントロールできなくなり、咳や呼吸困難などの症状が現れます。また肺が全身の気を巡らせることが出来なくなるため、ちょっと動くと疲れたり、息切れがしたりします。

  7. 肺主行水
  8. 水液を行(めぐ)らせる作用を行水(こうすい)作用といい、通調水道(つうちょうすいどう)作用ともいいます。

    運化作用による作られた津液を、肺が宣発作用粛降作用によって全身に散布、下降させまています。

    行水作用が低下すると、全身にうまく津液を運搬できなくなるため、水分の停滞が起こってむくみが現れたり、反対に津液が行き渡らず局所的に不足して、皮膚の乾燥や空咳など潤い不足の症状が現れます。