五味所禁:五味の禁ずるところ

ここでいう「禁」とは、禁忌または忌避という意味です。

中医学や薬膳では、五臓のはたらきに応じて、それぞれに対応する五味がありますが、同じく、五臓に病がある時に摂ってはいけない味もあります。これらの味は、対応する五臓に対して拘束・抑制のはたらきがあり、病を更に助長する可能性があるとされます。

肝病には辛、心病には鹹味(かん)、脾病には酸、肺病には苦、腎病には甘が禁忌です。

辛味は発散して代謝や血行を促進するはたらきがあります。肝には主に2つの機能があり、1つは血液のストック、もう1つは消化吸収・代謝・血行・精神活動をスムーズにするものです。辛味には代謝や血行を促進するはたらきがあるため、後者の機能を促進することができます。しかし、肝病で血液のストックの不足が原因の場合、血行を促進することで却って血液のストック不足を助長し、血液不足を悪化させる可能性があります。

例えば、月経で使われる経血は、この肝のストックから賄っていますが、月経中、血液不足で光が眩しい、めまいがするという場合にスパイシーなものを摂ると、血行を促進して出血傾向になり、更に症状が悪化してしまいます。

心身の状態は五臓を反映しています。体調や精神状態に合わせて、五味を上手に活用することで、健康維持や病気の予防、治療に役立てることができます。