【五臓】心の特徴

心には次のような特徴があります。

  1. 心華在面:心の華は面にあり
  2. 心には主血脈作用があり、心が血の生成や循環を行うことで、気血が全身に行き渡り、全ての臓腑や器官を養うことができます。顔は人体の中でも血管が豊富で、血の状態も判りやすく、顔を見ることで心の機能が正常かどうか知ることができます。

    心の機能が充実していると、顔の血色がよく、つやがあり、生き生きとした表情になります。しかし、心気が不足すると顔色が白っぽくなり、心血が不足すると青白くなります。また血行不良や血栓など血の病理産物の停滞があると、顔色はくすんで浅黒くなります。

  3. 心開竅於:心は舌に開竅(かいきょう)す
  4. 舌は顔同様血管が豊富にあり、味の識別や発声、発音において重要な役割を担っています。心が正常に機能していれば、主血脈作用によって十分な血が舌まで行き渡り主神志作用によって味覚などの五感や言語機能が正常にはたらきます。

    血の不足があると舌の色は淡くなり、舌が震えたり、ろれつがまわらなくなることがあります。心に余分な熱が蓄積すると、舌は赤くなり、舌炎などができやすくなります。

  5. 心合小腸:心は小腸に合す
  6. 五行の色体表を見ると、心と小腸は同じ火に属していることがわかります。心と小腸は経絡で繋がり、相互に影響しあっています。

    小腸は、飲食物から人体に必要なものとそうでないものを分別し、不要なものは膀胱や大腸に送ります。心に余分な熱が蓄積すると小腸にも影響して、尿の色が濃くなったり、ひどい場合には血尿になったりします。反対に小腸に熱が蓄積しても心に影響し、舌先が赤くなったり、舌炎ができたり、心と関係のある舌に症状が現れます。

  7. 心主言:心は言(げん)を主(つかさど)る
  8. 言語は意識や思惟活動を表現する手段のひとつです。心には主神志作用があり、精神・意識・思惟活動と最も関係の深い臓腑です。

    心の機能の低下や異常亢進があると、言葉が出ない、呂律が回らない、支離滅裂なことをいうなど、言語に影響が現れます。

  9. 心主喜:心は喜(き)を主る
  10. 五行の色体表を見ると、心の属する火と関係のある感情は喜です。適度の喜びは心や血管をリラックスさせ、血流や全身の循環をスムーズにします。しかし、喜びが過度になると、血管が弛緩しすぎて血流や循環を低下させてしまいます。

    宝くじで10万円当たるとうれしくてテンションが上がり、全身の巡りもよくなります。しかし、7億円が当たると、うれしすぎて倒れてしまうことがあります。これは過度の喜びで心や血管が弛緩し、血流や循環が停滞し、精神や意識活動にも影響が出るためです。

  11. 神藏於心、外候在目:神(しん)は心に蔵され、外候(がいこう)は目に在り
  12. 神とは精神・意識・思惟活動であり、心を拠としています。心の主神志作用によって、神は正常に機能することができます。目は「心の窓」ともいわれ、精神状態を反映します。

    精神が安定していると、目に力があって、ものをしっかりと見つめることができます。しかし、不安感があると、視点が定まらず、弱々しい目になります。

  13. 心藏神、脈舎神:心は神を蔵し、脈は神を舎(やど)す
  14. 精神・意識・思惟活動は、心の主神志作用により正常に機能することができます。心には血液を作り、全身に栄養を運搬する主血脈作用がありますが、神もこの作用によって養われ、安定した活動ができます。心の2つの作用にはとても密接な関係があります。

    無理なダイエットなどで心血を損なうと、神を養うことができなくなり、イライラや集中力の低下が起こります。また心労は心血を消耗し、心血不足によって動悸や不眠などの症状を引き起こします。

  15. 心主陽気:心は陽気(ようき)を主る
  16. 五行では心は火に属します。人体にある正常な火とは、生命活動の根源となる熱エネルギーや、臓腑器官の機能を促進する熱エネルギーで、これを陽気といい、火に属する心によってコントロールされています。

    寒くなると血管が収縮し、血液循環が低下して、高血圧や血栓による循環器系の症状が現れるのは、寒さによって心陽が損なわれ、主血脈作用が低下するためです。

  17. 心主汗:心は汗を主る
  18. 汗は心の液といわれ、心の津液が、心陽によって変化し、汗孔から体外に排泄されたものと考えます。発汗は体内の熱を排泄して、体温を調節するための機能ですが、火に属する心は夏の暑さや熱の影響を受けやすく、発汗することで熱を冷まし、正常な機能を維持しています。

    過度の発汗で動悸や胸苦しさが起こるのは、汗として心の津液を消耗し、心血の不足を招くためです。津液不足ではあまり汗をかくことができず、熱を十分に冷ますことができないので、熱のせいでイライラや不眠が起こることがあります。

  19. 心悪熱:心は熱を悪(にく)む
  20. 五行で火に属する心は、熱の影響を受けやすく、炎上しやすい性質があります。心の熱が亢進すると、血液循環が異常亢進して出血傾向になったり、血中の津液を消耗して血行不良や血栓の原因になったりします。また、神をかき乱して、精神活動に異常が現れます。

    興奮したり、のぼせたりすると、鼻血が出るのは、熱が心に影響して出血傾向になるためです。熱中症で痙攣が起きるのは、暑さによって血中の津液が消耗され、血液がドロドロになって筋肉を養うことができなくなるためです。また、暑いとイライラするのは、熱によって精神が不安定になるためです。