腰為腎之府:腰は腎の府を為す

 「府」には居場所という意味があり、直訳すると「腰は腎の居場所」となります。

中医学でいう腎は、現代医学の腎臓のはたらきだけでなく、内分泌系のはたらきなども兼ね備えた臓腑で、現代医学の腎臓同様、人体下部に位置すると考えられています。

腰痛の原因は様々ですが、中医学では腎に原因があることが少なくありません。

腎はもともと両親から受け継いだ有限の生命エネルギー、すなわち腎精を蓄えている臓腑です。過労や加齢、月経、妊娠、房事過多などで腎精が不足すると、腎の居場所である腰の筋肉や、腎が主る骨を養うことができなくなって腰痛が現れます。この場合の腰痛は、腰がだるい、腰に力が入らない、だる痛い、力が入らなくて痛い、なんとなく痛い、動くと悪化、手を当てると楽になるなどの特徴があります。熱エネルギー不足も伴う場合は、冷えると悪化し、温めると改善します。この他、腎の水分代謝低下による腰痛では、腰が重い、重くて痛い、雨天や湿度の高い場所で悪化、発汗後に軽減などの特徴がみられます。

腰の症状が現れることで、腎に関連する病気を予測することもできます。例えば、主訴が耳鳴りであっても腰痛を伴えば、腎が原因の耳鳴りと推察することができ、腰痛がなければ肝などに原因があると考えることもできます。