脾主統血:脾は統血(とうけつ)を主る

中医学で血は、脈中を流れる赤い液体で、心身に栄養物質を運び、身体機能や精神活動が正常に行われるようににする、生命活動における基本物質と考え、現代医学でいう血液によく似ていまます。血は脈中、すなわち血管の中を流れるものであり、ここからはみ出したものは、血としてのはたらきを失います。

例えば、机の角に体をぶつけると内出血します。これはぶつけた衝撃で皮膚や皮下組織にある毛細血管がダメージを受け、血管から血液がにじみ出た状態です。中医学では、このにじみ出た血液を瘀血(おけつ)といい、血液の病理産物と考えます。そのため、ぶつけた部分は青黒くなり、痛みが発症し、場合によってはたんこぶになったりするのです。血として正常にはたらいていれば、このような不快な症状が現れることはありません。

ところで、ぶつけた覚えがないのに内出血ができていたり、目に見える出血はないのに口や鼻の中になんとなく血のにおいがしたり、女性では月経がだらだら続いたりすることがあります。これは脈中から血が少しずつ漏れている状態で、脾のはたらきが低下している証拠です。

脾には統血作用があり、これは血が脈外に漏れ出さないようにするはたらきです。食事の不摂生、過労、慢性疾患などで脾がダメージを受けると、このはたらきも低下して出血傾向になることがあります。この出血の特徴は、少量の出血がだらだらと止まらないこと。鼻血や歯茎からの出血、吐血、血便、血尿、皮下出血、月経過多など出血部位は多岐に亘りますが、顔につやがなく黄色っぽい、顔色が白い、食欲不振、軟便、疲れやすい、息切れ、しゃべるのが億劫、やる気が出ないなどの症状を伴い、空腹時や疲労時に悪化します。

このような場合には、ただ止血するのではなく、脾を補ってはたらきを正常に戻すことが大事です。