風為百病之長:風は多くの疾病を引き起こす長である

中医学では、六気(ろっき)と呼ばれる風・寒・暑・湿・躁・火(熱)の6つの気候変化があります。

これらが人体に影響を及ぼす場合を特に六淫(ろくいん)と呼びます。暑は夏、寒は冬、燥は秋...というように、六気、六淫には季節性があるのが特徴です。

しかし、風は春に特徴的な気候変化であるだけでなく、一年を通して現れ、また他の5つと複合しやすいという性質があります。六気が六淫に変化する時、それぞれの名前の後に「邪」をつけますが、風の場合は「風邪」となります。日本語では、これを「かぜ」と読み、いわゆる感冒のことを指します。余談ですが、夏目漱石は著作の『こころ』の中で、「かぜ」を「風邪」と書いて「ふうじゃ」とルビを振っています。

感冒の主な原因は六淫です。冬の感冒は寒邪が、夏かぜは湿邪や暑邪が、秋なら燥邪が原因で発症することが多いのですが、これらが単独で影響するよりも、風寒、風湿、風燥など、風邪と複合した形で影響することがほとんどです。

日本では「かぜは万病のもと」といわれますが、これはいわゆる感冒がいろいろな病気のもとになるということを指しているとともに、風邪(ふうじゃ)によっていろいろな疾病が引き起こされるという意味も指しています。

風邪が人体に影響すると、感冒以外に、花粉症、皮膚や粘膜のかゆみ、体表の感覚異常、身体痛、頭痛、めまい、脱力感などが現れます。また、もともと血虚証などの血液不足や肝・胆病辨証がある場合は、風邪の影響を受けやすく、大きな疾病に発展することもあるので注意が必要です。

風邪の影響を受けないようにするには、乾布摩擦などで皮膚粘膜を鍛え、バリアとなる衛気(えき)を強化しすること、生もの、冷たいものを控えること、餅類など衛気を強化する食品を摂ること、睡眠や休養を充分取ること、適度の運動をすることなど、免疫力や抵抗力を高めることが最も重要です。強風の日は、体表、特に風邪が襲いやすい上部を被服で覆うなどの防御も大事です。風邪の影響を受けたら、すぐに緑茶など風邪を散らすはたらきのある食品を摂るとようでしょう。