肝腎同源:肝腎の源は同じ

中医学でいう肝・腎は下焦に位置し、肝には血液を貯蔵したり、血流量を調節する蔵血作用が、腎には成長や生殖に関連する腎精(じんせい9と呼ばれる生命エネルギーを蓄える蔵精作用がると考えます。

腎精は先天の精とも呼ばれ、受精によって両親から受け継いだ有限のエネルギーです。腎精からは、人体に必要な全ての物質、肉体、精神などが作られます。しかし、腎精は両親からのプレゼントなので有限で、補填していかなければ生命を維持することはできません。

腎精は全ての物質のもととなるため、肝に蓄えられる肝血も腎精から作られます。現代医学では、血液は骨髄から作られると考えますが、中医学では骨髄を主るのは腎で、2000有余年の昔から、現代医学的にも通じる理論ができあがっていたことが伺えます。肝血は他に飲食物からも作られています。

有限の腎精の補填には2つのルートがあります。1つは飲食物からダイレクトに補われるルート、もう1つは肝血から作り変えられるルートです。肝腎は同じ下焦に位置するため、腎精と肝血を相互転化することで、お互いのはたらきがうまくいくよう協力しあっています。

しかし、協力関係にあるということは、一方の不調がもう一方にも影響するということでもあります。例えば、加齢による腎精の不足は肝血にも及び、肝が主る目に影響が出て、かすみ目、老眼など目の不調が現れます。目の酷使や過度の運動などで肝血を損なうと、腎精も不足し、腎の主る足腰がだるくなったり、生殖に関係するホルモンに影響が出て、月経不順になったりすることもあります。

肝腎に限らず、人体を構成する物質や臓腑は、いろいろな形で協力しあって生命活動を維持しています。これは生物の強みと弱み両方の側面を持っています。1つの臓腑のバランスが崩れたらすぐ治すことが、元気で長生きにつながります。